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 relevos.26〜30

relevos(リレーエッセイ)は、気ままに連鎖します。
当財団は口をはさめません。


 relevos.26 車田 勝美   「今日もそろそろ…」

 「頼むからまっすぐ飛んでくれ」と強く念じてからひと呼吸おき、あとは力いっぱい振り抜く。「パシッ」と弱々しい音と強烈な手の痺れを残し、わがままなボールは私のイメージとはうらはらに視界の外へと消えていく。「あちゃー」と絶望にも似た落胆の言葉のあとに仲間たちの笑い声。この一連の行動を18ホールする頃にはすっかり日も暮れ始め「お疲れさん!」の合唱を合図にヤケ酒を煽る。これが最近の私の楽しみでありストレス解消法いやむしろストレスの原因となっているような気もする“あるゴルフの一日” である。
 一昨年の終わり頃から友人のすすめで始めたものだが、これがなかなか楽しい。いや難しい。みんなの足手まといになるまいと入門書なるものを手始めにレッスンビデオ、上級者との合同練習、果ては「これで上達間違いなし」との折り込み広告に誘われて新製品の購入と考えうる限りを尽くして日々奮闘中である。稀にスーパーショットが飛び出せばその華麗なプレーに自分自身酔いしれ、さらに上を目指そうと熱が入る。納得のいかないプレーにもその歯痒さから次の練習への糧となるから不思議だ。理想のプレーと現実のスコアのギャップにもがき苦しみかなりの精神的苦痛である。それでいて今さら投げ出す勇気もなく、かつて味わったことのないジレンマワールドに完全に迷い込んだようだ。やめたいのにやめられない、この蟻地獄のような生活からもはや脱出不可能。しかもゴルフへの興味もそれに関わる出費も加速度的に右肩上がり。少しは成績も比例上昇してくれればよいのだが…目下横ばい伸び悩み中。このつらく苦しい世界に誘い込んだ友人たちを逆恨みするしかあるまい。
 昨年は我が実力に見合わず海外にまで足を伸ばし「ゴルフ旅行」なるものを敢行。南国独特のぬけるような青空と乾いた空気、燦々と降り注ぐ日差しのシャワーを浴びながらのプレーは下手なりに心躍った。心地よい風が美しく手入れされた芝の香りを運んできて、改めて大自然とひとつになれるゴルフというスポーツのすばらしさに感動した。水平線に落ちる夕日を見ながらグラスを傾け、ゆっくりとゴルフについて語り合うはずの打ち上げも、ちょっと暴走気味になってしまったがそれもまたいい思い出になっている。結果はとうてい報告できるようなものではなかったが、ゴルフを口実に久しぶりに仲間と楽しい旅ができた。
 普段音沙汰の無い遠方に住む友人とのプレーや、鍋を囲んでの反省会という名の飲み会など楽しみが多いのも長続きする理由だろうか?そりの合わない会社の上司が意外にも熱心に指導してくれたりと新しい発見もある。あまり肩の力をいれず細く長く続けて行きたいと思っている。興味のある方はぜひ一度トライしてみてはどうでしょうか?あの爽快感と程よい疲れはきっとヤミツキになるはず。
 話はまだまだ尽きませんが今日もそろそろ練習場へと向かう時間がきたようなので、機会がありましたら続きはまた。
 次回は人間味あふれる満点パパ。稲葉正弘君にバトンタッチです。


車田さんは、こんな人…  relevos.25 屋代 敦
今回紹介した車田さん(31歳)とは小学時代からの付き合いで現在は私が住む隣町の江戸崎町に在住している。ゴルフ、バスケットなどスポーツ全般を得意とし、また格闘技と競馬をこよなく愛す個性豊かな人です。



 relevos.27 稲葉 正弘   「夢・ドリーム それは思い込み」


 自分の夢、それは“ルパンW世”になることだった。まだ幼い頃、真剣にそれについて作文を書いたことがある。受け取った先生は、言葉を失っていたが…。気の合う仲間と一緒に、好きなことをやってのけるルパンが大好きだった。歩き方が似ているとよく言われていた。その影響からか、私の子供達もルパンを見ているときは、夢中である。犯人が誰かとか、宝はどこにあるとか、完全にルパンワールドへ連れて行かれている。
 ルパンの仲間には、次元と五右衛門がいる。私の友達に銃や剣の道を押し付けられないため、手始めに自分が剣道を始めた。この頃は、スクリーン上の五右衛門のように、空へ舞い、飛行機を真っ二つに斬り、「またつまらぬものを斬ってしまった」と決まり文句を吐く日が来ることを信じて疑わなかった。ところが、いつになっても剣を握れない。当り前だが、竹刀で飛行機を斬れない。その前に、空へ舞い上がれない現実に打ちのめされ、決まり文句も吐けないまま五右衛門になることを断念した。次は銃だ。ご承知のようにそんなもの簡単に手に入るわけがなく、次元になることも断念せざるを得なかった。
 はっきり言って私は焦っていた。とてつもないスピードで、最後の切り札へ、たどり着いてしまった。ルパンといえば…?そうだ!もみあげだ。と言っても幼い私になすすべもなく、いつまでも、はえてこないもみあげを、毎日鏡で見る始末。
 味のりを強引に耳の隣りにはったが、外に出られない。苦し紛れに、変装だ!まず、銭形警部になってみよう。おなじみの茶色のコートを羽織り、同じ色の帽子、そしてなんと言っても太い眉毛、これまた味のりになってしまった。いいかげんこんなことはやめて“ふ、ふ、ふじこちゃーん”探しをすることにした。いったい“ルパンW世”とは、誰のことを指しているのかわからなくなってしまっていた。
 そして、“ふじこちゃーん”探しを遂行するなか、どうしても“あぶない刑事”が気になって仕方がなかった。これはアニメではないためか、かなりリアルに再現できた。まず、黒のスーツをまとい、中には白のデカエリシャツ、そして黒のサングラスをかけ、少々ポマードで髪を濡らし出来あがり。完璧に柴田恭平になりきり、街を歩いた。誰かに話しかけられようものなら、「関係ないね!」と返す勢いで、飲むコーヒーもポッカオンリー。コーヒーでない時は、当時館ひろしがCMをしていたポカリスエットという徹底ぶり。記念写真でも撮っておけばよかった。
 こんなミーハーな私は現在、シニアツアーでよぼよぼになったタイガーウッズを倒すことを夢見て、ゴルフ練習に励んでいる。勿論、黒ズボンに赤のポロシャツを着て…。
 次回はもっと若者に目を向けて手軽なところで私の弟、稲葉良幸です。自由奔放なエッセイをどうぞ!


稲葉さんは、こんな人…  relevos.26 車田 勝美
今回バトンタッチしたのは、かわいい3人の子に囲まれ仕事に遊びにいつもパワフルな稲葉正弘くんです。たまにピントはずれのおやじギャグ?を言いますが、友人の中にあってなくてはならない貴重な存在です。(茨城県稲敷郡美浦村在住・31才・会社員)



 relevos.28 稲葉 良幸   「いやされるもの」

 私は今29才である。はっきり言って遊び人である。学生の頃に体にしみ込んでしまったいわゆる夜型である。酒と女とギャンブルが趣味という典型的な独身タイプである。酒は日本酒をこよなく愛している。最近は飲みすぎで感覚が鈍ったのか定かではないが久保田や八海山など名酒よりワンカップの方が匂いやくせがあり美味だと感じる。女性関係は昔から割ともてる方である。ずっと営業職をやっているくらいなので話し上手なのとルックスが割といい方だからだろう。しかしここ何年か真剣に愛している女性が存在しない。これは今までの恋愛に於いてのある種のトラウマからきているのだが結論としては女性は自分にとって酒の席とベッドを共にする夜のパートナーとして位置付けされている。だから実際ここ何年か女性と昼間デートしたという記憶すらない。これはある意味さみしい事なのだが自分の中ではこれが形として定着してしまっている。休日の昼間は何をやっているのかというとよく競馬場にいる事が多い。競馬をやる人は分かると思うが非常に楽しいものである。いろんな角度から予想し自分なりの予想をする。50倍以上のオッズを的中させた時などかなりの快感である。でも一番楽しいのはゲートが開きレースが始まるまでの現実の結果が出るまでの夢を見ている時間だったりする。だから友人と酒を飲みながらの競馬話は非常に楽しいものである。その反面ギャンブルなのでいくらでも投票できるという危険を忘れがちでもある。くだらない話をしてきたがそろそろ本題に入ろうと思う。
 今月のゴールデンウィークの後半に友人と一緒に沖縄に初めて行った。行く前はやれ旅行代が高いとか、行ったってやることがないとかクレームをつけていたが実際行ってみるとかなりのインパクトを受けることになった。以前にグアムには行った事はあるのだが、日本にして心洗われるような海の鮮明な青さや、うまく表現できないが太陽との直接的な距離感というか何より一番心に響いたのは、沖縄の人々のマイペースな生活のリズムである。確かに3日間しか居なかったが沖縄に居ると絶好の海景色に触れ人間誰しもが持っている野望や金欲などの欲望が薄れていく気がした。それは、環境や気候からきているのだろうがある意味でそこに居るだけでいい素直で無欲な自分になれる場所である気がした。何かの記事で以前読んだが、ある有名な女優も沖縄にはまり現在生活しているというのも共感できる。それは普段私がしている酒飲みや女性関係やギャンブルで流しているストレス解消というか自己表現というかそれを超えるくらいの印象を与えたからだろうと思う。いい意味で自分を冷静に見直すためのいい経験であり旅行だったと思える。だから将来また行ってみたいし住みたいという気持ちもある自分はアウトロー的な生き方をしているという気がしていたが案外単純なのかもしれないと思うようになった。結構楽でありいい気分である。
 ところで皆さんは何にいやされて生きていますか?


稲葉さんは、こんな人…  relevos.27 稲葉 正弘
年齢29歳、職業たばこの営業マン。仕事をしているのか心配になるほど、家にたばこがダンボールでやまずみ。在住地は、茨城県新治郡です。もとスマップの森くんに似ている悩み多き年頃の独身男性です。理想が高いからかな?売れてません。



 relevos.29 小西 聡子   「五年後に読み返したい、いまのわたしの進行形」

 今年、運転免許証の更新に行った。わたしは夏生まれなので(暦上では秋なのだが)、つい最近のことだ。前回もゴールド免許だったわたしは(うっ、自慢…)、その免許証を五年間持っていたことになる。前回更新した時は、二十代だった… 思えば、その免許証の『平成13年の誕生日まで有効』を見て、自分に平成13年がやってくるのか不思議に思ったものだ。三十三歳の自分なんて、想像もできなかった… でも、三十三になってしまった。今年も同じことを思った。『平成18年の誕生日まで有効』、三十八歳になった自分を想像できないでいる。昔見たTVドラマで、「十年後の自分を想像できない人」を卑下する台詞があった。それをできない人はいわゆる『勝ち組』の人間ではないらしい。それを言っていたのは(脚本家がそれを言わせていたキャラクターは)二十二、三の女性だった。三十過ぎても未来なんて少しも見えないわたしはなんなのだろう… 考えてしまう。そう回顧すると、二十代の頃、芝居をしたいなんて、絶対考えられないことだった…
 そう、わたしの趣味は演劇なのです。元々、物語が存在するものは大好きだった。映画、小説、夢… 演劇に興味を持ったのは二十七歳の時。たまたま観たTVでの(いわゆるTVっこなわけです)舞台中継だった。日本でも活動・活躍している英国人演出家の、インタビューもはいった三日間の特集で、三本の舞台を、それこそなめるように観た。それから二年後に、寺島文化会館の演劇のワークショップと出会う。観客としてしか存在していなかったわたしが、いきなり自分の身体で表現するという現場に立会い、何故か参加してしまったのだ。『自己表現』というのは、いろんな形があると思うが、身体に感情を載せるという形態は、わたしにとっては一番遠くにあるものだった。参加者たちの前で、こちらが発表者側という場所に立つだけ、何か台詞めいた言葉を発することすら拒否感があった。参加者は大概、楽しそうに発表の側に立ち、言葉を発する。皆はわたしと違って表現者なのだ、と悟った。その後、数本の芝居作りに参加した。裏方がほとんどだ。しかし、いつの頃からか、役者たちの中にあって、感じることが多くなった。彼ら彼女たちは何故、他人が書いた、時には共感できぬ台詞を説得ある言葉にしているのか? それが知りたくて、今は役者にとても興味がある。挑戦したいと思っている。しかし、わたしは現在、演劇活動のフィールドを失っている。それでも、今も芝居作りに参加したいと思うのは、何故だろう。三年の間、いろいろな演劇のワークショップに参加したが、役者として存在している人たちがどんなに多いことだろう。皆、好きなのだろう。それほどの人たちを魅了する演劇作りの魅力をわたしは言葉にできずにいるけれど、その力は感じている。けれど、演劇は一人ではできない。わたしは現在、一緒に芝居を作る人を探している。
 次回は、演劇コミュ二ティの中で知り合い、今では飲み友達である松島環さんの優しい関西弁(わたしみたいな関東の人間は関西弁って怖かったりするのだけれど、彼女のは田舎のおばあちゃんのようなぬくもりがあるのです)で和んでください。


小西さんは、こんな人…  relevos.0 栗俣佳代子
小西さんことコニとは、もうこれまでと思うくらい感情がぶつかりあったこともあるけれど、今だに二人で大酔っぱらいしています。コニはとっても不思議な人。何か考えこんでいたかと思うと、いきなり大胆な行動力を発揮します。そして、私ってわかりやすい性格でしょ、というのが彼女の口癖です。千葉県在住・33歳。



 relevos.30 松島 むう   「今日この頃の私」


 突然だが、私は典型的な日本人体型である。馬で例えるなら、サラブレットではなく、どさんこ馬と言ったところか。(どさんこ馬にとったら、エライ迷惑なたとえや。)とにかく、ずんぐりむっくりなのだ。
 特に下半身ときたら、とんでもない。若かかりし青春時代バレーボールに生命をかけすぎたのが、いかんかった。太ももとおケツについた筋肉は、いつの間にか「脂肪」と呼ばれる存在に変身してしまった。
 そして、いつも困るのがズボンを買う時である。異様に下半身おデブな私は必ず5〜6着を数回試着する。ラベルのサイズ等は全くと言って良い程、あてにならんからだ。はけたは良いが、ウエストがぶかぶかだったり、逆にしまらんかったり…。近頃、困るのが、また上の浅いヤツだ!! 今だかつて、ちゃんとはけた代物はひとつもない。何故に、こんなモノが流行るのだ!? 下半身おデブには良い迷惑だ。TVで浜崎あゆみを見る度に「下半身おデブでも、はけるモノを流行らせんかい!! 」と、思ってしまう。
 ついこの間も、とある店で試着した。近頃、出回ってる「バギーパンツ」。コイツが気になったのだ。なんせ、型的には下半身おデブ隠しにもってこいではないかい!?
いっちょ買ってみようと思い試着を試みた。ここで問題がひとつ。試着に店員が付いて来るコトだ。そして、ずっとカーテンの外で待っている。かなり、うっとおしい。この店も、当然の如く店員登場。かなりスマイルだ。
 さて、そのズボン。Lサイズのくせに小さい…。ももより上に行かない。なんたる事!? かなりブルーだ。すると、カーテンの向こうから店員の声。
「どうですか?」
「どうですかじゃね〜よ!! Lのくせして入んねーよ!! だいたい、なんでコレもまた上が浅いねん!! ももより上にあがらんやんけー!!」
と、本心では叫びつつ、口では大人しく答えた。
「はぁ…。」(大人しすぎ!?)
ま、だいたいの店員は、ここで「ははん。はけなかったのね。」と思って引き下がる。
 ところが、この店員はしつこかった。もとの自分の服に着替えて外に出るなり、
「合いませんでした?」
「…はぁ。」と、私。
「しまりも、しませんでした?」
「……!?(んがーッ)」
 そこまで言うか!?
ふつう。確かに事実だが、本人が受け入れ難い事実を他人に言われたかーない。この店、客をひとりなくしたね。だいたい、この店員も含め、世の女どもはヤセすぎだ。腕かと思う程の足の人ばっかり。そのくせ「太いからヤセたい」と言う。アンタらで太かったら、私はどうなるっちゅーねん!? まったく。服も細い人に合わせて作りすぎだ。店にSとMサイズしかないとこなんぞ、おデブは入るなと言う事か!? (←かなり、ひがんでいる。)
 そんな事を、ぶーぶー言いながら、バリ舞踊の稽古の帰りに友人とアジア料理をたらふく食い、冷蔵庫には大好きな、にごり酒を常備している私(笑)。「食ってる時が一番うれしそう(友人談)」。「食」に幸せを感じるんやから、下腹出てるくらい、まぁ、いいか。
 結局、そう思う今日この頃の私である。
 さて、次回はいつも前向きな松野直子嬢です。お楽しみに。


松鳥さんは、こんな人…  relevos.29 小西聡子
関西出身で、現在は、東京は高尾山の麓に住み、看護婦さんをしている環は23歳。芝居をしたくて上京したのに、今ではバリ島にはまり、精力的にバリ舞踊を習っています。九つも年下の彼女だけど、わたしにとって『お姉ちゃんにしたいナンバー1』なのは、そのポジティブなパワーに憧れているからなのです(^^)。




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