成立
概要
 岡本秋暉
 肉筆浮世絵
初期風俗画
寛文美人
菱川派
懐月堂派
宮川/勝川派
上方派
喜多川派
歌川派
鳥文斎派
葛飾派
鳥居派
西村派
その他
 江戸花鳥画
狩野派
琳派
円山四条派
文人画派
南蘋派
奇想派
浮世絵派
洋風画派
その他
企画展

 


コレクションU 肉筆浮世絵

 


  

浮世絵

浮世絵は日本の伝統的な美術の代表として、広く国際的な知名度を得ています。あのゴッホでさえ広重の作品に魅了されて油絵で模写したことは、有名なエピソードです。一般に「浮世絵」といえば、東海道五十三次や富獄三十六景などが有名ですが、それらは絵師の元絵を彫師や摺師が分業で制作した多色摺りの版画です。他に、主として当時の富裕層からの需めに応じて、絵師が絵筆で一点一点描き色彩を施した肉筆画も存在します。


肉筆画

分業で制作された版画に比べ、肉筆画は絵師の感性や技量を直接に鑑賞することができます。また、生涯の画業において肉筆画にこそ真価を発揮した絵師も少なくありません。しかし、廉価で大量生産が可能であった版画に比べて、肉筆画は制作数・現存数ともに少なく、なかなか鑑賞する機会が少ないのが残念です。肉筆浮世絵を体系的に収蔵している美術館としては、東京国立博物館、太田記念美術館、出光美術館、MOA美術館、千葉市美術館、ボストン美術館、大英博物館、フリアギャラリーなどがあります。近年、内外の研究者によりボストン美術館コレクションの調査研究が行われ、また、著名な浮世絵絵師の作品が重要文化財に指定されるなど、肉筆浮世絵の評価が高まっています。




本コレクションに収蔵する主な作家

・近世初期風俗画:岩佐又兵衛、邸内遊楽図など
・寛文美人:寛文期美人図、延宝期美人図など
・菱川派:菱川師宣、菱川師房、菱川師平など
・懐月堂派:懐月堂安度、空明堂信之、西川照信など
・宮川/勝川派:宮川長春、宮川一笑、勝川春章など
・上方派:西川祐信、月岡雪鼎、祇園井得など
・喜多川派:鳥山石燕、二代歌麿、喜多川藤麿など
・歌川派:歌川豊春、歌川豊国、歌川国貞、歌川広重、月岡芳年など
・鳥文斎派:鳥文斎栄之、酔夢亭蕉鹿など
・葛飾派:葛飾北斎、葛飾辰女、蹄斎北馬、昇亭北寿、抱亭五清など
・鳥居派:鳥居清長、羽川珍重など
・西村派:磯田湖竜斎、司馬江漢など
・その他:窪俊満など


補足

本コレクションは、美術史上の桃山時代に江戸に風俗画を移入し浮世絵誕生の素地を築いた岩佐又兵衛、単なる挿絵を越えて美的鑑賞に値する一枚絵を完成させた「浮世絵の開祖」菱川師宣に始まり、明治維新を越えて活躍した「最後の浮世絵師」月岡芳年に至るまで、浮世絵全史の主要な画派や著名な画家をほぼ集約しています。